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フォレストピアメモリーズ

 

 フォレストピア――。

 エルドラード帝国最西端に位置する、帝国で一番新しい街。

 

 西の隣国シロヴィーリとの国交の要として創られたこの街は、今では至る所にシロヴィーリから入ってきた文化が取り入れられている。

 最初は何も無い草原だった。

 まず帝国内の鉄道ができ、拠点となる倉庫ができた。それから隣国に繋がる鉄道ができ、異国の文化を楽しみながら、街は発展していった。

 この街を大きくしていった中心人物は、とある若者。名はラムリーザ・シャリラン・フォレスターといった者だ。彼は帝国宰相の息子で、街を発展させるのに十分な権力を持ち、いろいろと自由に試行錯誤しながらフォレストピアを創っていった。

 ラムリーザは仲間と一緒に街を創り、時には笑い、時には悩み、しかしいつも仲間に囲まれていた。

 

 

 街の施設の一つに、フォレストピア・ナイト・フィーバーというものがある。フォレストピア唯一のナイトクラブだ。

 今日も宴が始まり、その主役はバンドグループ『ラムリーズ』だった。これもラムリーザが仲間と共に作り上げたものだ。

 グループの主役は、妖艶なる黒髪の美女と呼ばれる女性。ベースギターを操り、その力強い歌唱力と美貌でフォレストピアでも人気抜群だ。

 ドラムを叩くのは彼女の相棒で、青髪の青年。このフォレストピア・ナイト・フィーバーの支配人だ。

 彼は、普段はクラブの経営が主なのだが、ラムリーズの演奏の時だけこうしてドラムを叩いている。

 

 今夜の演奏が始まった。歌の題名はメモリーズ。ラムリーズが創った新しい歌だ。

 妖艶なる黒髪の美女は、ベースギターを奏でながら歌い始めた。

 

 

ねえ、覚えているかしら?

あなたとはいつもぶつかり合っていた

胸も肥えも不必要に大きなあなたは

ずっと私のライバルだった

 

あなたはベースなのだから でしゃばらないでほしいわ

裏方に回って黙々と弾いていればいいのよ

二枚看板なんて必要ない 私一人で十分

ずっとそう思っていた……

 

でもあなたを失った今になって気がついた

一人じゃ寂しいとようやく気がついた

ねぇ、もう一度二人で歌わないかしら?

思い出だけにはしたくない……

 

 

ねぇ、覚えているかしら?

あなたはいつも私を支えてくれた

穏やかで優しいあなたは

いつも私の心の支えだった

 

あなたがいろいろ尽くしてくれたから

私は一人でやっていけるようになった

自信を持てるようになったのよ、すごいでしょ?

 

でも思い出だけにはしたくない……

いつまでも見守っていて欲しい

 

あなた達にはやらなければならないことが沢山ある

でも、たまには私の我侭も聞いて欲しいな

いつでもいいのよ、私の所に戻ってきて

 

思い出だけにしたくないから、また一緒に……

 

 

 ナイトクラブに奇麗な歌声が響き渡る。

 歌い終わった時、観客のが気がついた。

「あれ、歌姫が泣いてる?」

 妖艶なる黒髪の美女の瞳から、一滴の涙が零れ落ちた。

 歌姫は慌てて相棒のドラマーの居る後ろを向き、観客に背を向けたのだった。

 

 

 フォレストピア――。

 ラムリーザによって創られた街。

 今では帝国有数の都市として発展している。

 

 この物語は、フォレストピアの創造から発展するまでの記録である。

 ラムリーザと共に、この街の成長を見ていこう。

 時は十年ほど遡る――。

 
 
 
 
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