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登校初日目、胸が大き過ぎてやっぱり制服をまともに着られない

 

 朝、目を覚ましたラムリーザは、いつものように自分の腕の中で寝ているソニアと目があった。

「おはよう」「ああ、おはよう」

 ベッドの中でお互いに目を覚ましていることに気がついて、互いに挨拶をする。

 あの告白の日から何日経ったことか。何とも言えない話ではあるが、あの日以来二人は同じベッドで寝ることが普通になってしまっていた。現在居住している寄宿舎も同じ部屋で生活していて、ぶっちゃけて言えば同棲状態だった。

 そもそも生まれたときから同じ屋敷に住んでいた二人であり、今更という気持ちもあり、一緒に住むことに全く抵抗は無いのだ。そして、恋人同士の関係になったことにより、同じ部屋で生活するのが自然となってしまった。

 起き上がろうとするラムリーザと、その彼の腕をつかんで起こさせないようにするソニア。彼女の目は、まだ一緒に布団の中に居たいとでも言いたそうにしている。

「もう起きなくちゃダメだろ。今日から学校始まるんだからな」

 そう言って、ラムリーザはつかんでいた腕を振り払って、ベッドから立ち上がった。

 不満気に見てくるソニアの目を無視して、ラムリーザは制服に着替える。

「んむー……」

 ソニアは拗ねてみせるが、一人でベッドに居てもつまらないので、しぶしぶ起き上がってのそのそと着替え始める。

 ラムリーザが着替え終わって振り返った時、ソニアはベッドに腰掛けていて、まだブラウスを着ている途中だった。まだボタンが二つ留まっていない。いや……、胸が大きすぎてボタン二つは留まらないのがいつものことだから、正確に言えばブラウスは着終わっていた。

 そして、大きな胸がこぼれないように、そしてブラがはみ出ないように整えているところだった。ハーフカップのブラに変えていたので、なんとかギリギリはみ出ないようにすることができるようである。

 だがあまり引っ張ると、三番目のボタンが飛んでしまいそうになるので、慎重に調整している。

 ラムリーザは胸の辺りをゴソゴソしているソニアの隣に座り、肩を抱き寄せた。

「あん」

 突然の行動にびっくりするソニア。

「制服に着替えているソニアも可愛いなあ」

 試着した日以来の制服である。ソニアは普段着が残念なので、制服を着てくれたほうがずっと可愛い。

 抱かれていた状態を振りほどいてソニアは立ち上がり、緑色のミニスカートに足を通す。

 ラムリーザは、ミニスカートの裾から伸びる、ソニアの健康的なむっちりとしたふとももが好きだった。そしてじっと見つめているのだ。

 ソニアはその視線に気がつき、緑色の上着を手に取って再びラムリーザの隣へ腰掛ける。そして自分の足をラムリーザの足の上に投げ出して言った。

「おなめ」

「アホか」

 なめてもらう代わりに、ふとももを揉まれてしまうソニアであった。

「さあ、着替え終わったわ。朝ごはん朝ごはん」

 上着を着終わったソニアは、再び立ち上がって部屋の出口に向かおうとする。

 そのソニアにラムリーザは冷静な口調で言った。

「待て、まだ裸足じゃないか」

「ちっ、ばれたか」

「ばれたか、じゃない。僕をごまかしても、後で風紀委員に見つかって怒られるのはお前だぞ……ってか、そんなのでよく風紀監査委員になろうと考えたな」

 昨日行われた入学式の後、掲示板で部活などの勧誘ビラが貼られていた中に、風紀監査委員の募集も張り出されていたのをラムリーザは覚えていた。

「むう……」

 ラムリーザの正論に押されて、ソニアは仕方なく靴下を手に取って、再びベッドに座る。

 ソニアは素足や裸足で居ることを好んでいて、靴下が苦手だ。その上、制服の靴下がふとももの半ばまで到達するもの、いわゆるサイハイソックスというところに苦手意識が拍車をかけていた。

「なんでこんなの履かなくちゃだめなんだろ」

 足に少し通しては引っ張り上げ、また少し通しては引っ張り上げ、初めて履くものなのでぎこちない。

「あれだろ、スカート短いからそれ履かないと露出が多すぎるからだろ」

「別に露出多くてもいいのになぁ……」

「そう思うのはお前ぐらい……ってわけではないと思うけど、みんながみんな足を出したいってわけじゃないんだぞ、たぶん」

「だったらラムも全裸でコート着たらいいのに!」

「なんでそうなる……」

 ソニアは文句を言いながらも、一応一通り着替えは終わったので、ラムリーザは「これでよし」と立ち上がり食堂へと向かっていった。ソニアも後を追って部屋から出て行く。

 ラムリーザ達二人が寄宿舎として使っているこの屋敷は、ラムリーザの親戚の家であり、朝晩の食事はそこに住み込んでいる料理人が用意してくれている。

 この二人はこれまでの人生で、料理人の作った料理しか食べてこなかったので、自分で用意するということができないのだ。だから、そういった点は二人にとって、非常に都合がよかった。

 

「そう言えばソニア」

 朝食を食べながら雑談が始まった。

「セディーナ先輩には嫉妬しないんだな」

「えっ? 何であたしが嫉妬するの?」

「こないだ駅ですれちがった二人組には、すごく嫉妬していたみたいだが」

「そ、それはラムが綺麗な人って言うから!」

「そんなこと言ったっけ?」

「言った!」

 そう言ってソニアはビシッと指差すように、卵焼きを突き刺したフォークをラムリーザのほうに突き出してきた。ラムリーザは、目の前に卵焼きを差し出された形になったので、「ありがと」と言って頂くことにした。

「あっ、食べた!」

「ん? 突き出してきたからくれるのかと思ったけど。ほら、あーんとかいうやつだね」

「そんなことしてないよ!」

 ソニアは突き出したフォークで、ラムリーザの皿に残っていた卵焼きを奪い取っていった。そして再び自分の皿に目をやった時に、皿の位置がさっきよりもテーブルの中央に寄っていることに気が付いて、また非難の声を浴びせかけてくる。

「ラムのいじわる、今度は皿ごと奪おうとするなんて!」

「自分のおっぱいで押し込んでおきながら、人のせいにするな」

「えっ?」とソニアは驚いて、胸を押さえて恥ずかしそうに俯いた。

 先程ラムリーザの皿から卵焼きを奪うために、身体をテーブルの上に乗り出した際に、ソニアの大きな胸がテーブルの上の皿に当たって押し出したのだ。

「おっぱいと合わせて、腕が四本あるみたいで便利だね」

「そっ、そんなことはどうでもいいよ。それよりも何というのかなー、部長も綺麗な人だったけど、駅ですれ違った二人は……見た瞬間不安になったんだ」

 フォークに刺さった卵焼きを眺めながらソニアはつぶやく。

「確かに油断したらフラッと持っていかれるかもな」

「あの二人、アイドルとか女優とかなのかなー? ……って、持っていかれないでよ!」

「ま、何はともあれ、僕はソニアが一番だから心配するな」

「えへ、ありがと」

 

 朝食を終え、二人は登校するために寄宿舎を出た。学校と寄宿舎はそれほど離れていない。

「昨日は入学式の後、すぐに解散になったから教室に入るのは今日が初めてね」

「同じクラスになったのはよかったな」

「最初だから名前順かぁ。ソニアとラムだから離れちゃってるね」と、残念そうなソニア。

 最初ということもあって、席は出席番号順に名札が置かれているようだ。そこでラムリーザは、後ろから二番目の席に自分の名前を見つけ、持っていた鞄をそこに置いた。

「よう、奇遇だな」

 ラムリーザは後ろに居た男性に声をかけられた。

「あ、リゲルじゃないか」

 そう、先日のパーティで出会ったリゲルがそこに居たのだ。

 リゲルは内心ニヤリと笑い、「これは都合がいいな」と思った。彼は権力者の息子という為か少しばかり選民意識があるような感じで、上流階級の者以外とはあまり付き合わないようにしているのだった。その点、ラムリーザは彼にとって都合のいい相手でもあったわけだ。

「改めてよろしく」と言って手を差し出してくるリゲル。

 意外と気さくだったんだな、と思うラムリーザ。実際のところはラムリーザに対しての態度が特別なわけなのだが、ラムリーザには知る由も無かった。

「こちらこそよろしく」

 ラムリーザも手を伸ばし、リゲルとお互い握手した。

 その様子を離れた自分の席から見ていたソニアは、「もう友達作ってる……」と小さく呟くのだった。

 
 
 
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