home > 物語 > > ギャルゲーをやろう

ギャルゲーをやろう

 

 週末は、学校が休みである。

 休みとなると、家で暮らすことになるので、ラムリーザとソニアの二人は、いつのように部屋でのんびりと過ごしていた。

 先日注文した楽器はまだ届いていないので、やる事と言えば勉強かゲームぐらいである。

 とは言うものの、ラムリーザは勉強にそれほど興味はなく、ゲームと言ってもソニアがプレイしているのを見ているのがほとんどである。

 だが今日は、ソニアはゲームを開始する様子もなく、なんとなく落ち着かない感じであった。何か考え込んでいるような素振りを見せたと思うと、ラムリーザの方をじっと見ていたりする。

 ラムリーザの方は、テーブルでソニアの買ってきたゲーム雑誌を読んでいる。

 しばらくそんな感じが続いた後、ソニアは「ラム、ゲームショップに行こうよ」と、ラムリーザの傍に擦り寄ってきて言った。

 今日は珍しく、ソニアの方から出掛けようという誘いが入ったのだ。普段はラムリーザの方から声をかけないと、ずっとゲームしているのが常である。

「新しいゲームを買うのか?」

「うん」

「まぁ、こないだまでやってたのは暗殺されて終わったしなぁ」

「あんなゲームはもういいの」

「虐殺せずにやり直したらいいんじゃないのか?」

「いいの!」

「お、おう……」

 というわけで、二人はポッターズ・ブラフの商店街に出掛けることにした。

 商店街の場所や主な店の場所は、入学初日に先輩に、楽器を買うために連れて行ってもらっている時に聞いていたのでので、ある程度は分かっている。商店街は今住んでいる場所からそれほど遠くなく、歩いて二十分程でたどり着くことはできた。

 

「新しいゲームって、次は何をやるのだ? ここ最近、新作ゲームの発表は無かったと思うけど」

「……秘密よ」

 ソニアはちょっと顔をそむけて答える。少し顔が赤いようだが、何だろう。まあ、秘密と言っていても、ついて行っていれば結局分かることなのだが。

 商店街をしばらく歩いて、ゲームを売っている店にたどり着いた。

 ラムリーザはゲームが嫌いというわけではないが、自分でやることはほとんどなくて、専らソニアがプレイしているのを見ていることの方が多い。プレイする時は、たまに対戦型のゲームで相手してあげる時ぐらいである。

「あった、ここよ」

 二人はしばらく店内を徘徊していたのだが、とあるコーナーでソニアは立ち止まった。

 だが、ラムリーザはソニアの止まったコーナーのタイトルを見て、「ん?」と思う。

 

『恋愛シミュレーション、恋愛アドベンチャー』

 

 いわゆるギャルゲーのコーナーであった。

「恋愛ゲーム?」

 ラムリーザはソニアが何故このコーナーを見ているのかわからなかった。彼女は普段はRPGとか、バトル系のSLGをやることがほとんどなのだ。それがいったいどういった青天の霹靂なのだ?

 というより、そもそも……

「なあ、それって主人公は男で女を選んで遊ぶゲームの類じゃなかったっけ?」

「うん、それでいいの」

「女を選ぶゲームなのに……まさかお前!」

「百合には興味無いわ」

「そか……」

 しばらく品定めをしていたソニアは「これにしよ」と言って、一本のゲームを手に取った。

 今までにやってきたことのあるジャンルじゃないので、結局一番人気のある作品を選んだようだ。

「まあよい、たまにはそういうゲームを見るのもいいかもなー」

「ダメ! ラムは見ちゃダメ!」

「な……」

 見てはいけないことはどういうことだ? と考える。

 そういえばラムリーザには思い当たる節があった。

 前のゲームで勝手に虐殺を選択したことを根に持っているのだろうと思った。今回も勝手に女の子との仲を悪くされないように警戒しているのだろう。

「もう勝手に進めたりしないからさ」

「別にこれはゲームを楽しみたくてやるわけじゃないから見なくていいの」

「……?」

 ならば何でやるのだ? と考える。

 それ以前にそもそもこの類のゲームは、女の子との恋愛を楽しむことが目的だ。それをやりたいということは、ソニアは女の子との恋愛をしたいのか?

 ずっと一緒に過ごしてきたが、そんな方面までは知らなかった……とラムリーザは思い、「やっぱりお前、百合……」とつぶやく。

だがソニアは真顔で「それは絶対に無い!」と言うのであった。

 それならそれでいいのだが、そうだとしたらなおさらソニアの行動が分からなくなるラムリーザであった。

 

 

 今日の買い物はゲームだけでよかったようで、ソニアは買い物が終わるとすぐに帰りたがっていた。

 家に帰るなり速攻で買ってきたゲーム、とあるギャルゲーを、テレビの前の絨毯にぺたりと座り込んで始めたということは、すぐにでも開始したかったのだろう。

「よし、幼馴染が居る。この娘から始めよ」

 パラパラと説明書をめくって、ソニアはそう呟き、ゲーム機の電源を入れる。

 そして、主人公の名前を入力する画面が出てきて、そこに「ラム」と打ち込んだところで、すぐ後ろにあるソファーにラムリーザが座ってこっちを見ているのに気がつく。

「もー、ラムは見ちゃダメって言ったでしょ!」

「なんだよ、見られて恥ずかしいならやらなければいいじゃないか」

「うーっ」

 ソニアが目を見開いて、歯をむき出しにして唸るので、ラムリーザは「はいはい」と言ってソファーから立ち上がり、バルコニーに出て行くことにした。

 そして、春の暖かい風を感じながら、昼寝をするために、デッキチェアに横たわる。

 テレビからは、のんびりした女の子の声が聞こえていた。

 結局この日は、ソニアは寝る時間までギャルゲーぶっ通しプレイをしているのだった。

 
 
 
Sponsored Links



 
 
 前の話へ目次に戻る次の話へ

Digiprove sealCopyright secured by Digiprove © 2016
新しい記事
古い記事

return to page top

©発行年-2018 らむの夢日記