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美少女二人、その2

 

 この日の朝、ラムリーザが目覚めた時には既に九時を回っていた。

 昨夜は、ソニアが遅くまでゲームをやっていて、それが気になってなかなか寝付けなかった気がする。なにしろテレビから、女の子の元気な声や可愛らしい声が終始しているのだ。

 ソニアは既に起きていて、昨日買ったゲームに興じているようだ。昨夜に引き続き、テレビから女の子の声が聞こえている。

「うーん、おはよ」

「おそよう、ラム」

 おそようとは面白い造語だ。遅いとおはようを繋げたところだろう。

「もうごはん食べた?」

「うん」

 だよな、と思いながらラムリーザは一人で食堂に向かうことにする。

「ところで、今日はちょっと日用雑貨の買出しに行こうと思うけど、どうする?」

「うーん、ゲームしたいな」

「そうか」

 ソニアは買ったばかりのゲームに熱中したいようなので、ラムリーザは今日は一人で出かけることにした。

 

 

 ポッターズ・ブラフの商店街での日用品買出し。

 帝都の屋敷に住んでいた頃は、そういった仕事は使用人がやっていて、ラムリーザ自身が買いに行くということは無かったのだ。

 今日も使用人に頼めばよかったのだが、新しい街を見てみたいのと、画面を見てはいけないギャルゲーが気になって仕方ないので、気晴らしのつもりでもあったのだ。

 それで街に繰り出してみたものの、買おうと思っている日用雑貨がどんな所に売っているのかよくわからなかった。

「さてと、どこに向かえばよいものやら」

 とりあえず時間もあることだし、しばらく散策してみることにする。

 桜の並木道は、完全に緑色になっている。この国では、桜の花を見たければ、二月頃に見に行かなければならない。温暖な南国なのだ。

 そして町並みは、古風だった帝都とは違い、いかにも新開地みたいな雰囲気だな、とか思いながら歩いていると、後ろからふいに声をかけられた。

「あれ、ラムリーザじゃない?」

 振り返ると、そこにはリリスとユコの二人組みが居た。

 話を聞くと、休日は二人でショッピングに出かけることがよくあって、今日も一緒にやってきたということらしい。

「ちょぅどいい、ちょっと時間あるかな? 日用雑貨をいろいろと置いてある店を知っていたら教えて欲しいな、洗剤とか」

「ええ、大丈夫よ。あ、でもその前に私達の買い物に付き合ってくれたらね」

「ん、わかった」

 ということで、ラムリーザは彼女達に付き合ってあげることにした。

 二人を眺めると、やっぱりこの二人は美少女だな、と思う。変な着こなしをするソニアと違って、きちんとした身なりをしている。

 

 リリスとユコの買い物はゲームショップだった。丁度今までやっていたゲームが一段落したので、新しいゲームを選びに来た、ということらしい。

「あれ? デジャビュ?」

 ラムリーザは昨日と同じような展開に、少し可笑しかった。お店も昨日行った所と同じだったのである。そういえばこの二人もゲーム好きなのかな、とか思ったりする。

「やっぱりギャルゲーとかやるのかな?」

「それは男子向け恋愛ゲームね、私は興味ないかな」

「ですよねー」

 リリスの返答に、やっぱソニアは変わっているのかなと思ってしまう。

「ラムリーザさんはどのようなゲームをやるのですか?」

「んー、僕はやるより見てる方が多いからなぁ」

「じゃあ、今度私のプレイを見せてさしあげますわね」

 などとユコは言ってくれるが、ラムリーザにはこの神秘的な雰囲気のある少女がゲームをやっている姿が想像し難かった。

 そういうことで二人は各々ゲームを買い、次は雑貨屋に向かうことになった。

 

 買い物が終わる頃には、もう夕方になっていた。

 雑貨屋だけでなく、二人のウィンドウショッピングにも付き合っていたというのもあったからである。

「今日は付き合ってくれてありがと」

「いやぁ、こっちも助かったよ」

 二人は長年住んでいるだけあって、必要な物がどこに売っているかはよく把握していてくれて、ラムリーザは助かったと思う。

「でね、この後アフター行かない、アフター」

 リリスは微笑を浮かべて、妖艶な目つきでラムリーザを誘惑するように見つめる。

「む、誘ってる? ユコはどうするんだ?」

「ユコはもう帰るみたいよ」

 誘ってるな、とラムリーザは感じた。恋愛ゲームのことについて考えていたばかりなので、頭の中に選択肢のようなものが勝手に浮かび上がる。

 

・リリスの誘いに乗る

・リリスの誘いを断る

 

 この誘いに乗ればリリスルートに突入することになるかもしれない。

 リリスは非情に魅力的な女の子だから、彼女にできれば周りに自慢できること間違いないだろう。

 だがソニアはどうする? ソニアに隠して付き合うという選択肢もあるが、いつまでも隠し通せるわけは無く、いずれはばれてしまうだろう。そうなれば、三角関係で泥沼化間違いなし。

 そしてその先、最終的に待ち受けているのは二人が刃物を持ち出して……。

 などと細かく考えたわけではないが、ラムリーザはリリスの誘いには乗らないことにした。

「でもさ、二人とも買ったばかりのゲームを早くやりたいんじゃないかな?」

「あら、ゲームは明日からでもできるわ」

「いや、僕は今夜用事があるから早く帰らないといけないし、それに荷物もあるし」

「そう、ならば仕方ないね」

「うん、じゃあまた明日学校で」

 ごめんリリス、僕は恋愛ゲームの類での考え方をすると、もうエンディングを迎えているんだ……と、心の中でよくわからない謝罪をしながらラムリーザはその場を立ち去ったのであった。

 

 

 寄宿舎に帰ると、ラムリーザの選んだソニアはまだゲームに夢中だった。

 テレビからは可愛らしい声で「ごろにゃーん」とか言ってるの、もう見てらんない。

 やれやれ、いったいどういう心境の変化なのやらと思いながら、ラムリーザは買ってきたものを片付けていくのであった。

 
 
 
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