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大きいおっぱいは好きですか?

 

 この日の放課後、いつものようにラムリーザとソニアは二人連れ添って部室に向かっていた。

 無用の不安から解き放たれたソニアは、リリスやユコに臆することなく接することができるようになり、もう友達のような関係になっていた。それはよいことです。

 部室に向かっている途中、ラムリーザが少しトイレに寄ることにしたので、ソニアはトイレの入り口付近で待っていることにした。

 その時……。

 

「ソニア・ルミナス、少しばかり目に余るのですが、よろしいかしら?」

 

 突然ソニアの前に、目つきの厳しい女生徒が立ちはだかった。

「だ、誰?」

「風紀監査委員です」

「…………」

 あっちゃー、ついに目をつけられちゃったとソニアは表情には出さずとも内心苦笑いする。

 胸が大きすぎてブラウスのボタンが留まらなくて、リボンも付けられずに胸がオープンになっている事について、いつか突っ込まれると覚悟はしていたのだが……。

「あなた、少し服装が乱れすぎていると考えませんか?」

 風紀監査委員と名乗ったその娘は、事務的に、それでいて厳しく攻めてくる。

「だって仕方ないじゃん」

 不満そうに答える。

「まず、その靴下の履き方は何? だらしない」

 昨日、体育館の用具室でラムリーザに誘惑ごっこを仕掛けた時に、生足を見せ付けるという名目で、履いていたサイハイソックスをくるぶしのところまでずりさげるということをして見せたのであった。

 元々ソニアは、長い靴下を鬱陶しいと感じていたし、下げた状態で履いていても誰も文句を言わなかったので、その時から今日この時までそのままにしていたのだった。

 仕方ないなーと思いながら、ブラウスと違ってこちらは直せないわけではないので、ソニアは太ももの半ばまでしぶしぶ持ち上げる。

「これで文句無い?」

 それでも不満そうに口を尖らせて言い放つ。

 その表情を見て、風紀監査委員の娘はさらに厳しい目つきでソニアを見て言った。

「さて、その胸元はどうにかならないのかしらね?」

「ならないわよ! どうにかなると思うのならあんたが留めてみたらどうよ」

 子供じゃないのだから、とつぶやきながら風紀監査委員はソニアのブラウスの胸元を引っ張ってボタンを留めようとしたが、「確かに、無理ね」と言った。

 確かにボタンは届かないし、無理に留めようとすれば、ボタンがすぐに飛ぶかブラウスが破けるか、どちらかの結果になるのは明白だった。

「だから言ったじゃない、仕方ないって」

「正直、あなたの胸は無駄に大きすぎるのよ、だらしない」

 彼女はソニアの胸を突きながら、厳しい口調で続ける。その行為自体は風紀監査委員としてどうかと思われるが。

「だ、だらしないって何よ、ちっぱい!」

「とにかく! その胸元はどうしようもないのは分かったから、せめて他の場所ぐらいはきちんとしなさい」

 そう言われると、ソニアは口を尖らせたまま何も言い返せなくなってしまう。

 彼女はソニアから一歩離れて、「あまりラムリーザの評判を落とすようなことは慎むべきね」と言って、その場を立ち去っていった。

 

 ラムリーザがトイレから戻ってくると、ソニアがしょんぼりしているようなのに気がついた。

「ん? 何か元気無くなったように見えるけど、何かあったのか? ちっぱいとか叫んでいたようだが、ちっぱいって何?」

 ソニアはラムリーザの姿を見て安堵の表情を浮かべたが、すぐに恥ずかしそうに横を向いて言った。

「風紀監査委員に注意された……なによ、あのちっぱい……」

 ラムリーザは、「あー」と言っただけでその先にかけてあげる言葉はすぐには浮かばなかった。

 いつか目をつけられるという予感はしていた、いつもオープンしている胸元は、他の人には目のやり場に困るってことは、なんとなく予想は付いていたことだ。

 そして先程までだけに限って言えば、それだけじゃなかったし。

「だから靴下はちゃんと履けって言ったじゃないか」

「むー……」

「仕方ないな」

 ソニアが落ち込んでいるみたいなので、ラムリーザは肩に手を回して抱き寄せて、その状態で部室まで行くことにした。

 それこそ、風紀監査委員に何か言われそうな状況ではあったが……。

 

 

 

「ふむ……」

「うん?」

 その日の夜、ラムリーザとソニアは一緒に部屋でくつろいでいた。今日はお互いに並んでソファーに腰掛けている。特にゲームをやるわけでもなく、ただぼんやりと時間を潰していた。

 普段ならソニアがゲームをやっているのを、ラムリーザが横から見ているという風景が自然なのだが、今夜はゲームを起動させてはいなかった。

 ソニアは新しく買ったギャルゲーを続ける意味がなくなったのか、それとも今日風紀監査委員に注意されたことを気にして落ち込んでいるのか。

 その時、ラムリーザはとくに意識していたわけではないが、じっとソニアの胸を見据えていた。

 二人とも入浴後で、バスローブを着ている。そしてソニアのその大きな胸は、バスローブを盛り上げて、さらに胸元は大きく広げられているのだ。

「もー……、さっきから胸ばかりじろじろ見て……」

 ラムリーザの視線に気がつき、顔を赤くしてソニアが抗議する。

「そ、そんなにあたしの胸が……、魅力的?」

「いや、こうしてじっくり見てみると、周りの娘とは全然違うんだなぁ、とかね。メルティアとかそんなのじゃなかったし、リリスもユコもそうじゃないし」

 メルティアとは、帝都で暮らしていた時のソニアの友人のことである。

「やだ、もぅ……」

 ソニアが恥ずかしそうに胸を腕で隠すので、ラムリーザはスッと目をそらしてあげた。

 ソニアは、足を出すのは平気なのに、胸に関してとなると恥ずかしがるということか。

 実際に、フォレスター家の母も娘――ラムリーザにとっては妹――も、それなりに胸は大きかった。規格外のソニアほどではないが……。

 

「…………」

「…………」

「ラムは胸は大きい方が好き?」

 しばらく沈黙が続いた後、ぽつりとソニアが尋ねてきた。

 ソニアにとって、この問いは賭けでもあった。

 ラムリーザが大きい方が好きと答えてくれれば問題ないが、小さい方が好きと答えたら自分にはどうしようもない。

「胸かー、んー……」

「どっち……?」

「そうだな、胸なんてもんは――」

 どうでもいい……と言いかけて、ふとソニアの表情を見てその言葉を止める。その表情を見て、なんとなく察したラムリーザは続ける言葉を変えることにした。

「俺はソニアが好きだ。そのソニアの胸は大きいと思う。だから、大きい胸が好きなんだろう」

 ラムリーザは腰掛けていたソファーから立ち上がり、隣に座っていたソニアの前に立ち、体をかがめて正面から肩をつかみながら言った。

 その台詞は我ながらずいぶんと遠まわしな言い方だなと思う。だが、これがラムリーザが咄嗟に思いついた、最大限のフォローでもあったのだ。

 そして、夜風に当たるためにバルコニーに出て行った。

 

「そっか、好きなんだ」

 ソニアは、ラムリーザが出て行ったバルコニーの方を見ながら小さくつぶやく。そしてよかった、と思って胸をなでおろすのだった。

 この大きな胸はいつも邪魔でしかなかったが、ラムリーザが好きと言ってくれるならまんざら悪い気はしない。

 風紀監査委員に嫌味を言われたこともあって気分が沈んでいたが、このことを聞いてなんとなく気分が晴れていく感じがしていた。

「ふふっ、ラムはちっぱいなんか趣味じゃないんだから」

 ニヤニヤと笑みを浮かべてつぶやきながら、ソニアも一緒に夜風に当たるためにバルコニーに出て行くのであった。

「ねぇラム、やろうよ」

「何を?」

「えっちを……、学校じゃないからいいでしょ?」

 ソニアは、バスローブの胸元を広げながらラムリーザを誘惑する。

「おまっ……、しょうがないな」

 というわけであります、こんやもお楽しみのようですね、おしまい。

 
 
 
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