爆乳過ぎて水着もまともに着こなせなかったりする放課後

 
 6月3日――

 

 この日、授業が全て終わった後のショートホームルームで、担任からの通達があった。

 内容は、来週プール開きをするので、水着を各自準備しておくように、とのことだった。この学校には、指定のスクール水着もあったが、常識の範囲内で水着の選択は自由に、とのことらしい。

 そこで放課後になってから、ラムリーザたちは水着を用意するために、購買部に向かっていた。

「水着かぁ、常識の範囲内ってなんだろうね?」

「レコードビキニとかはダメってことじゃないかな?」

 水着の話を始めたソニアとリリスだが、リリスはレコードビキニなる謎の物を提示した。ラムリーザは、そのような物は聞いたことが無い。

「何それ?」

「ブラの所がレコードになっているビキニで、レコードの穴から乳首だけ出して着るのよ」

「そんなの着る人って、変態さんじゃない……」

 などと話をしながら先頭を歩いているのが、新しく結成したバンドユニット『ラムリーズ』で、リードとベースのギターを操る二枚看板娘。ラムリーザ的には、物語で言えばダブルヒロインの主役扱いだ。

「水着ね、あんまり着た事ないから恥ずかしいかな?」

「そうですわね……」

 などと、少し恥じらいを見せているように話しながら、ユコとロザリーンが続く。控えめの二人は、『ラムリーズ』の鍵盤楽器担当。表には出ずに、主にコーラス担当でもあり、物語で言えば脇役となってしまうかもしれない。

「なあ、俺たちついて行く必要あるのか?」

「いやまぁ、僕もついでだから買おうかなー、とか。いや、いらんかな。たぶん去年の入ると思う」

「ふむ……」

 そして最後尾に『ラムリーズ』の裏方二人、ラムリーザとリゲルが、女子たちの付き添いという形でついてきている。裏方と言っても、一応ラムリーザがグループのリーダーだけどね。

 

 校舎内の移動中、階段に差し掛かると、ソニアはいつもの変わった動きを見せるのだ。

「そういえばいつも思ってたけど、ソニアって階段下りるとき、毎回壁を背にするのかしらね?」

 リリスが含みのある笑みを浮かべてソニアを見ながら問いかける。

「す、好き好きよ! 階段見たらじんましんが出るから背中が痒くなるのよ! 決してむ――無意味なことしてんじゃないからねっ!」

 大きな胸を押さえて横歩きで階段を下りながら、ソニアはリリスによく分からない意見を投げつける。しかしリリスは、わずかに言いかけた言葉を見逃さなかった。

「決してむ? 胸?」

「うるさい! こっち見んな!」

 そんな様子を見て、リゲルは嘲笑するように「ふっ」と鼻を鳴らすのであった。

 

 

 購買部で売っている女子用の水着は、ワンピースタイプだった。

 そこで、グラマー体型のリリスはそこで売ってある一番大きいサイズ、Lサイズを手にとって試着室に向かっていった。

 それを見たソニアも、同じものを手にとって試着室に向かう。

「あの二人はLサイズって感じだけど、私たちはMサイズでいいかな」

 そう言って、Mサイズの水着を手にとるユコとロザリーン。ただ、試着室は二つしかないので、そのまま待っている。

 一方、腹減ったなとか言いながら、まだ売れ残っていたパンを購入して食べているラムリーザとリゲル。まあ、普通にまったりとした買い物風景である。

 

キャラクター画像提供元 キャラクターなんとか機

「いかがかしら?」

 試着室から先に出てきたのはリリスだった。

「ちょっと胸がきついかな……、でもまあこれでいいわ。ラムリーザ、リゲル、ごらんなさい」

 リリスお得意の誘惑が始まった。二人の方に歩いていって、魅惑的な瞳で手招きしてみせる。

 盛り上がった胸、くびれた腰、いい形の尻。そして、靴下を脱いでいないので、スクール水着とサイハイソックスの組み合わせなのだ。普段あまり見ることのできない貴重なシーンであろう。

「どう? 感想は?」

「スゴクニアッテマスネ」

「何故片言なのかしら?」

 ぎこちない感じになってしまったが、とりあえず感想を述べたラムリーザと、あごに手を当てて黙ったままのリゲル。

 その二人の様子を見て、リリスは残念そうにふぅとため息を吐く。

「クールなリゲルに、ソニアじゃないとダメなラムリーザか……」

 そのソニアが、まだ試着室から出てこないのだ。彼女が着替えるのが遅いということは、一緒に暮らしているラムリーザ以外は知らないかもしれないというのがあるが、リリスは自分にあまり興味を示してくれなかったというのもあり、もたもたしているソニアにいらついたように声をかけた。

「ソニア、いつまでかかってるのよ」

「え、あ、その……」

 中からは、ソニアの慌てたような声が聞こえる。

 ちょっとイライラしている感じで、リリスはソニアの入っている試着室に近づいていった。

 その時、ラムリーザはあることに気がついた。リリスの胸が、結構ギリギリで収まっているという状態なのだ。ギリギリ……そう、つまりそれはソニアにとっては……。

「何をやっているの、ラムリーザが待ってるよ。開けるよ」

「あ、やめ! 待って!」

 ソニアは悲鳴を上げるが、ラムリーザとリゲルのつれない態度が気に入らなかったリリスは、有無を言わせず試着室のカーテンを開けた。

 中で、ソニアは水着を身体に通してはいた。だがしかし、残念な事に胸が入っていない。入りきらないというべきか、ワンピース型の水着は、胸の下までしか上がっていないのだ。ソニアの大きな胸があらわになっている。

「こほん……」「ぶふぉっ」

 咳払いして目を逸らすリゲルと、思わず食べていたパンを噴出してしまうラムリーザ。

「ちょっ、何すんのやめてよ!」

 そう怒鳴ってカーテンを慌てて閉めるソニア。

「あーもう! 胸が入らない最悪!」

 中から、ソニアの半分涙声な叫び声が響いてくる。

 リリスは、ラムリーザたちの方を振り返って、てへっと肩をすくめてみせるのだった。

 放課後というのもあって、周囲にあまり人が居なかったのは、ソニアにとって不幸中の幸いであろうか。

 

「まあ、なんだそのぉ、明日の休みにでも街に水着買いに行ってきたらいい……」

「そうね、そうしましょう。私もスクール水着じゃ物足りないし」

 ラムリーザの提案に、リリスは賛同するのであった。物足りないと言っても、常識の範囲内で選ぶように。もっとも、ソニアぐらいになると、ワンピースタイプは無理だろうが……。

「いや待って、やっぱり今日これから行きましょう」

 突然リリスは先程の意見を覆して、買い物に行くことを提案した。

 というわけでラムリーザは、ソニアと別れて一人で屋敷に帰るのであった。

 

 その夜――

 ラムリーザは、いつものように入浴後、バルコニーに出てリクライニングチェアに転がって夜風に当たっていた。

 そこに、後から風呂に入っていたソニアが出てきて、バスタオルを巻いたままの姿でラムリーザの前に現れたのだ。もっとも、ラムリーザもバスローブのままなので、それほど違いがあるわけではない。
 
「らーむ、面白い物見せてあげようか」

「いきなりはだけなくてもいいからね」

 ラムリーザは、ソニアがバスタオルを脱ぎ捨てようとしていると思って、先に釘を刺しておいた。いくらいつもベタベタしている関係とはいえ、一定の恥じらいを持ってくれなければ困るところがある。

「なによー、せっかくいい物を見せてあげようと思ったのに」

「さっきは面白い物っていったよね?」

 いい物と面白い物とでは天と地程の開きはないが、そこに潜む危険のようなものを感じたのだ。

「それではソニア、脱ぎます!」

「こら! ――って、何を――っ?!」

 しかしソニアは、ラムリーザが止めるのを無視して、バスタオルを放り投げてしまった。

 思わず目を閉じてしまったラムリーザだったが、ソニアがその場から動こうとしないので、恐る恐る目を開けることとなった。そこには――

「み、水着を着ているなら先にそう言えよ!」

 ソニアは、バスタオルの下に水着を着ていたのだ。恐らく今日買ってきた物だろう。

「へっへーん、どうだ。びっくりしただろう」

 どや顔で得意げになるソニアを、改めてじっくりと観察してみる。

キャラクター画像提供元 画像作成AI

 最初に思った砂時計の体形はそのままに、上下に分かれた緑色をした水着が、大きく膨らんでいる場所を覆っていた。覆っている部分はそれほど大きくなく、胸などはこぼれそうになっているが、それでも昼間見た時とは違ってきっちりと収まっていた。

「すごいね、似合っているよ」

「やったー」

 喜んだソニアは、ラムリーザの転がっている所に飛び込んでくるのだった。

 プール開きが楽しみになっちゃうね。
 
 
 
 




 
 
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Posted by 一介の物書き