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胸が大き過ぎて制服がまともに着こなせなかったりする昼下がり

 

「そういえばこれから通う学校は制服指定になってたな」

「え、そうなの?」

 

 これまで帝都で通っていた学校は、制服もあったが私服も認められていた。主に名家の子息達、主にお嬢様がドレスなどで着飾って通うという名目で、ということであったのだが。

 制服指定と聞いて、ソニアは不満そうな顔をする。

 ラムリーザの自室でゆったりとした時間が流れる午後、とくにやることも無かったので、ラムリーザとソニアの二人は一度制服を試着してみようということになったのだ。制服は、今朝方届けられていた。

「あーあ、ブラウスかー……」

 ソニアは、制服を手に取って困ったようにつぶやく。ソニアの表情は、困惑と苦悩が入り混じったような感じになっている。

「そんな顔しなくてもいいじゃないか。そんなだぼたぼなのじゃなくて、かわいいの着る事になるんだしさ。ブラウスの方が、ずっとかわいいって」

「ラムは何もわかってない!」

 怒ったように言いながら、あきらめたように目を伏せてブラウスの袖に腕を通す。それから袖を通したところで、何故かボタンは留めずにスカートを手にとった。

「緑色のスカートか、いいねー」

 ラムリーザは緑色が好きだったので、ソニアがこれから長い間、その緑色のスカート姿が見られることにたいして少し喜ぶ。それに、久しぶりに大きめのニット姿以外が見ることができるのだ。

 昔はソニアもいろいろな可愛らしい服を着ていたのだが、いつの頃からか先程まで着ていたゆったりした大きいニットとかしか着なくなっていたのだ。

 ソニアは、履いていたスカートを脱いで、制服のスカートに着替える。ソニアが普段から履いている短いスカートとさほど丈は変わらず、裾から伸びる肉付きのいいふとももなど、すらりと伸びた脚が美しい。

「んー、それにやっぱその健康的で肉付きのいい脚がいいね」

 その言葉にソニアは腰に手をやり「フフン」と得意げに脚を突き出す。ソニアは、自分の脚には自信があった。だから、いつも脚をむき出しにするような格好を好んでしているのだ。

 だがすぐに困ったような表情になり、羽織っただけになっているブラウスに、再び手をかける。

「ミニスカートはいいわ、問題は上……」

「そんなにブラウス嫌いか?」

「嫌いというか……」

 ソニアは下からゆっくりと一つずつボタンを留めていく。その動作が、途中で止まってしまう。

「……くっ」

「あー、なるほどね、そういうわけか」

 その様子を見てラムリーザはソニアが嫌がっている理由が分かった。ブラウスのボタンは、上から三つ目を留めるところで限界だったのだ。

 ソニアのその胸はブラウスの中に納めるには、あまりにも大きすぎた。

「確か98cmだったっけ、僕よりもかなりサイズ大きいんだよな」

「あたしもなりたくてこうなったんじゃないのよ……。これ、どうしたらいいのよぉ……」

 ぐいぐいと上から二つ目のボタンを留めようと引っ張りながら、ソニアは情けないような弱々しい声を出す。

 つまり、胸が大きく成長しすぎて普通の服が着られなくなったので、しかたなくゆったりとした服ばかり着ていたのだった。

 ソニアの胸は大きくはだけていて、大きな胸がこぼれそうになっている。ブラウスの上から着るベストも、結局胸が邪魔でボタンを留めることができないのは同じことだった。

 乳袋という便利な物が無いと、こうなってしまうといういい例である。

「うむ、下着がはみ出しているね」

「後でハーフカップのブラ仕立ててもらうように、お母さんにお願いしとく……」

 結局ソニアはボタンを留めるのを諦めて、その場に座り込んで黒い靴下を履くことに取り掛かった。

「この制服のリボンはどうするんだ?」

「知らない、ボタンが留まらないから付けられないし……ってか何よこの靴下、履きにくいもー」

 ソニアは上着のブラウスに引き続き、靴下でも悪戦苦闘している。

「そう言えば、ソニアは大体素足だったよな」

 もたもたしているソニアを軽く見やりながら、手に取ったリボンをネクタイの上からつけながらラムリーザはつぶやいた。思い返してみると、いつもソニアは裸足で居たような気がする。靴下を履いているソニアの姿は、ラムリーザのここ数年の記憶には無かった。

「ラムー、帝都の学校に戻ろうよ。やっぱり私服有りの方がいい……」

「別にいいけど、来年新都に新居ができたら僕は結局引っ越して転校することになるよ。残りの二年を一人でがんばってな」

「うー、しょうがない……ラムと一緒に行く」

 そう言いながら、ソニアはようやく靴下を履き終えた。丈が太ももの半ば辺りまで到達している、いわゆるサイハイソックスというものなので履くのに苦労していたようだ。

「ふう、やっと履けた。あまり期待していないけど、どう?」

 ソニアは顔をそむけたまま投げやりなポーズを取ってラムリーザの方に身体を向けた。

「うむ……」

 ラムリーザは、こぶしを口に当てて考え込むような振りをしながらソニアを見る。そして、制服の写真に目を通し、再びソニアの方に目を戻す。

 緑色のスカートは際どい丈で脚を強調している。もっともその脚は、大半が黒いサイハイソックスで隠されていて、太ももは数cmほどしか露出していない。そのため、これまでの格好からしたら露出が控えめとなっていると言えるだろう。

 それに、そういったスタイルは、妹のソフィリータがよくやっているので、今更珍しくもなかった。

 むしろ今回は、上半身の方が特徴的だ。スカートと同じ緑色のベスト、白いブラウスはボタンが途中までしか留まらず、大きな胸が半分ほど露出している。これが、写真にある制服のイメージと全然違う部分だ。

 はだけた胸から覗いている下着が、無駄に扇情的な雰囲気を醸し出していた。これがハーフカップのブラと入れ替わって見えなくなると、多少は落ち着くのか、それともより扇情的になるのかは、今の地点ではわからない。

「どうコメントしてよいものやら……、コスプレ?」

「むー、コスプレ言うな!」

 ラムリーザはこれまでは脚に視線が行きがちだったが、今回は胸を主に意識してしまっていた。

 そして、先日行われたソニアの身体計測の時に感じた「砂時計」のイメージが、はっきりとしたものになった。大きく膨らんだ胸、きゅっと締まった胴、そしてどんとした感じの腰。さっきまでの普段着のソニアとは全然違ったものになっていた。

 それは逆に考えると、ソニアはその大きな胸の存在を、なぜか隠し続けてきたことになる。ラムリーザは、ソニアの上半身は太っているとずっと思っていたのだから。

 それはそうと、ラムリーザは感想に困った。似合っているというには、それは扇情的すぎる。かといって、似合っていないとは、言うことができなかった。

「んー、それはそれでセクシーだと思うから、自信を持てばいいと思う。少なくとも、さっきまで着ていたのよりは、断然こっちの方がいい」

「そうなの? ラムがそう言うならあたし、気持ちを切り替える」

 ラムリーザは、セクシーという言葉と比較論でその場をしのいだ。しかしソニアは、それを聞いて困惑した表情から、少しだけ希望を持ったような感じに変化した。まあ、こんなもんだろう。

「うむ、そうしなさい」

「あれ、なんでラムがリボン付けてるの?」

「お前が付けないから、試しに付けてみた」

「もー、変なことしないでよ、返して!」

 ソニアはラムリーザからリボンを奪い返して、そのまま解き一本の紐にして、それを首からぶらさげた。

「こうすることにする」

「……ご自由に」

 制服の着こなしなど些細なことだ、と考えながらラムリーザはリクライニングチェアに横になり、窓の外に目をやった。

 ソニアは、「うーん」と伸びをする。大きく反らした胸は、なんとか留まっている第三ボタンもきりきりと引っ張っていて、今にも弾け飛びそうにしている。

 

 柱時計の鐘が三回鳴った昼下がりの出来事である。

 
 
 
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