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つまり、馬子にも衣装ってことですかな?

 

「ラムリーザ様、今日もソニアはそちらですか?」

 午前中、朝食を終えて自室でのんびりしていると、部屋の外からメイドのナンシーの声が聞こえた。

 ソニアはすぐに「居ないよ」と答える。自分が声を出したら意味がないということを、相変わらず理解していない。

 ラムリーザがドアを開けると、ナンシーは衣類一式を手に持って入ってきた。

「ソニア、あなたは最近ラムリーザ様の部屋にずっと居るような気がしますが?」

「そ、そんなことないよ。今たまたま遊びに来ているだけっ。今日は何の用なの?」

「ソニアの着るパーティドレスの仕立てが終わりましたので、一度試着してもらいましょう」

「パーティドレス?」

 ソニアは怪訝な顔をして衣類を見る。昨日、この春から通う新しい学校の制服を試着した際に、大変な思いをしたので、明らかにパーティドレスを警戒している。要するに、それだけやっかいな巨乳、いや爆乳ということである。

 そんなことも事情にあり、ソニアはただ一言「いや」と答えてそっぽを向く。

「ダメです。折角仕上がったのだから一度着てみないと。ほら、ラムリーザ様からも言ってやって下さいな」

「仕方ないな……」

 頼み込まれてラムリーザは、絨毯の上にぺたりと座り込んでゲームをしているソニアを引っ張って起こし、両肩に手を置いて、「ソニアの着飾った姿が見てみたいな」と言った。

「むー、ラムがそう言うのなら」

 ラムリーザに言われたら断ることができなくなり、ソニアはしぶしぶ試着することに応じた。

 

 メイドのナンシーの手伝いもあって、着替えはスムーズに進んでいった。

 だがソニアは、昨日試着してみた制服のブラウスも散々だったこともあり、どうせこの胸が邪魔で変になっちゃうんだと不貞腐れていた。

 しかし、着替えが進んで行く中、ソニアは「あれ?」と思った。パーティドレスが違和感なく身体にフィットしているのだ。

「あ、普通に胸が入った……?」

「それは当然です。何のために身体計測をやったと思っているのですか?」

 そのパーティドレスは体型に合わせて仕立てられたオーダーメイドの一品だった。そのおかげで無理の無い着こなしができたのだ。無論98cmの胸は、それなりの存在感を放っているのだが。

「ラム、どう?」

 昨日の投げやりなポーズではなく、うれしそうにくるりと回ってラムリーザに見せる。パーティドレスの裾がふわっと浮き上がった。

 ドレスは、ソニアの要望で明るい緑色をしている。その要望の背景には、ソニアはラムリーザが緑色が好きだということを知っているということがあったりするのだが。

「ほう、なるほど。それなりに着こなせば、見た目に関しては名家の令嬢も庶民も関係無いんだね」

 ソニアは美人というよりは可愛いタイプで、それでいて整った顔つきをしている。お淑やかというよりは、元気いっぱい、そして力強い感じの表情をしているが、ラムリーザはそういったところが好きだったりした。

 ソニアの可愛さに満足していたが、ラムリーザは茶化して「流石に普段より露出は減るんだね」と言ってみた。

 そのことに気がついたソニアは、「それもそうね、お母さん、ミニのドレスとか無いの?」と聞くが、帰ってきた返事は「ありません」の一言だった。

 

「あ、そうだ!」

 ソニアは何かに気がついたように、突然大元気煮に声を出す。

「学校の制服も体型に合った形にオーダーメイドしてくれたら苦労しないのに。あと素足許可とか、ラムの力でなんとかならない?」

「オーダーメイドって、制服はブラウスだろ?」

「そうよ。あたしの胸でも普通に入るようなブラウス」

「何だ? 乳袋でもつけるのか?」

「何それ……」

「胸を入れるための袋をつけたら、ボタンもきちんと留まるだろう?」

「嫌……、なんか胡散臭い」

「まあよい」

 ラムリーザはどうでもいい方向に進みかけた会話を終わらせることにした。そもそもブラウスと言った地点で、ソニアの大きな胸を収めきれる物がそうそう無いと思われる。無理に収めることができるようなサイズのものは、全体的に見て不恰好になるような気もしていた。

「それはさておき、似合ってるよソニア」

「えへ、ありがとう」

 ソニアはうれしそうな顔をしてお礼を言いながらお辞儀をして見せると、その場にぺたりと座り込み、再びゲームを再開した。お嬢様のようにドレスを着込んだ姿と、テレビゲームの組み合わせが噛み合っていない。

 だが、すぐにゲームを一旦停止して立ち上がって言った。

「やっぱりこれ脱ぐ。試着できたからいいでしょ?」

「うん、よろしいですよ。ああ、それとこれ。昨日お願いしてきたハーフカップのブラもできていますよ」

「あ、それつける。なんか最近きつくなってたのよね」

 そしてソニアは、パーティドレスを脱ぎ、下着も付け替えて普段着のだぼだぼニットとミニスカートに戻った。それに伴い、目立つ部分が胸から脚と変わっていく。そしてそのまま特に何も言わずに、ソニアはゲームのプレイに戻っていった。

 メイドのナンシーは、「それでは失礼致します」と言って、パーティドレスを持って部屋から出て行った。

「なんだ? もうドレス飽きたのか?」

「やっぱりドレスよりミニスカートの方がいい。なんだか生地が脚にからみついてると、鬱陶しい」

「そうか、割とどうでもいい」

 今日も、こうしてのんびりとした一日が過ぎていった。

 
 
 
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