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奇行に走りすぎて困った娘だ

 

「ほら、泣いてないで一緒に泳ごう。コテージに戻って水着に着替えるよ」

 ラムリーザは、リリスとの勝負に負けて泣いているソニアを連れてコテージに戻って行った。

 同じ部屋で着替えることは、既に毎日の事になっていたので、二人は気にすることも無く着替え終わった。着替え終わってもソニアが動こうとしないので、ラムリーザはまた手を引いて湖まで連れて行くことになったのだ。

 ラムリーザとソニアが湖に入っていくのを見て、リリスもコテージに戻っていくのだった。

 

 そういえばラムリーザは、ソニアと水に入って遊ぶのは、プールの授業以外ではこの夏初めてかもしれない。

「あー、胸が楽ー」

 ソニアの胸を見てみると、ぷかぷかと湖に浮かんでいる。

 ラムリーザは、その浮いている胸に手を伸ばそうかどうか考えていた。浮いている胸は、形がよくゆらゆらと揺れて、まるで誘っているように見えたりした。

 意を決してラムリーザが手を伸ばしかけた時、突然背中に誰かに飛び乗られて、その手を引っ込めることになってしまった。

「なんぞ?!」

 ラムリーザは驚いた一方で、ソニアは怒りの表情を浮かべている。

「こらあ! ちっぱいはラムに引っ付くな!」

 つまり、リリスも水着に着替えて湖に入ってきて、ラムリーザに後ろから抱きついたのだった。

 リリスはソニアに凄まれてラムリーザから離れると、そのまま恭しく礼をして見せてきた。

「仰せのままに、1メートル様」

「くっ……」

 ソニアがずっと不安に思っていたことが的中した瞬間であった。こうしてソニアは、Jカップ様から1メートル様へ、見事昇進を果たしたのであった。

 

 こうして、最初とは違った陣営になったが、みんなしばらくの間、湖周辺で自由気ままに過ごしていた。

 ラムリーザとソニアとリリスは湖の中で遊び、ユコは一人棒くぐりを続けている。

 その棒くぐりは、ソニアは体型上クリアできなかった――胸のサイズが普通だったらクリアできていた――のだが、リリスとロザリーンはクリアしている。

 だが、ユコは何度やってもくぐることができなかった。身体は柔らかいようだが、それを維持する腰の筋力が足りずに倒れてしまうのだ。

 要するに、臨機応変に対処する必要は無いが、高度な柔軟性を維持できず、ってところだ。

 いい加減ユコも諦めて、コテージへ戻っていった。それで、次に現れたときは水着姿になっていて、ラムリーザ達の方へ向かってくるのだった。

 一方ロザリーンは、いつの間にか桟橋の方へ向かっていっていた。リゲルの傍に行き、釣りをしているリゲルを近くから見つめているようだ。時折リゲルは振り返り、一言二言会話を交わしているようだ。

 

「リゲルとロザリーン、お似合いだと思うけどなぁ」

 ラムリーザは、先程リゲルから聞いた話を吟味した上で、そう思っていた。ラムリーザとソニアがそうだったように、いつも一緒に居れば、少しずつでも進展していくだろう。

 とりあえず最初の一投は、次のパーティだな。ラムリーザは、自分の中でそう締めくくって、自分の取り巻きの方へ目を戻した。

 美人二人におっぱいちゃん、三人を手中に収めているのは贅沢だ。いや、ラムリーザほどの権力者なら、周りも仕方ないと納得してうるさく言ってくることは無いだろう。

 でもラムリーザは、リリスやユコにも幸せな家庭を築いて欲しいと思っていた。その二人の相手が、どうしても見つからなかった時、その時の妥協案としてハーレムを築けばいいと考えたりしていた。

 リリス辺りは、妥協ではなく最初から愛人狙いな所が見えたりしていたが、この際気にしないことにしておく。

 ラムリーザは、今ではソニアだけでなく、リリスやユコにも幸せになってもらいたいと思うようになっていたのだ。

 

 波の無い湖面は穏やかなものだ。夜、水面に星空が映っていたように、今度は空の青が映っている。

 ラムリーザは、しばらく仰向けに浮かんで、そのまま目を閉じて自然と一体化してみようと考えた。聞こえてくるのは風の音と水の音、そしてきゃいきゃいと騒ぐ三人の娘達の声。

 だめだ、集中できない。

 ラムリーザは諦めて、空を見上げていた。すると水を掛けられたりして、全然和めない。

 

「おしっこがしたい……」

「なっ……」

 いつの間にかソニアが傍にやってきていて、ラムリーザの耳元で呟いてきた。長い間水の中に居て、冷えたか?

「そうだな、二つに一つだ。ここでこっそりやるか、ちゃんと便所に行くか」

「ここでばれないようにする」

「汚いわね……」

 会話はリリスに聞かれていた。

 仕方が無いので、ラムリーザはソニアの手を引っ張って湖から出て行った。ラムリーザ自身も、やっておこうかなとか思ったわけだ。

「う、お……、重い……」

 湖から上がると、ソニアは大きな胸を抱えてへたり込んでしまった。

「5キロでしたものね」

 ユコがさらりと説明する。ラムリーザは、5キロの胸って何だよ、と思いながらソニアを抱えて立ち上がらせた。それから二つの大きな胸の下に手をやって、ゆっくりと持ち上げてみた。

「んー、確かにそれなりに重量はあるような気がするね」

「ねぇ、ずっと支えててよ。そうやって持ち上げてくれていたら楽」

「こっちが恥ずかしいな……、というかお前は恥ずかしくないのかよ……、ってまあいいや。ほら、便所行ってこい」

 そう言ってラムリーザは、離れにある便所を指差した。

「ラムはどうするの?」

「遠くまで行くのめんどくさいから、手っ取り早くあそこの茂みで済ませる」

「むーん、ずるい……」

 ラムリーザはソニアの肩を押して、自分は茂みの中へ入っていった。と思ったら、ソニアもついて来ていて、すぐ傍に立っていたりするのだ。しかも、当然といった顔をして。

「こらっ、便所はあっち!」

「なによぉ、一緒にしようと思ったのに」

「いやあのね、少しは恥じらい持とうよ」

 ラムリーザは、茂みの影から湖の方を見て言った。リリスとユコは、茂みの方をじっと見ているようだ。茂みに隠れてこちらの姿は見えないと思うが、これではあまりにも決まりが悪い。

「誰も見てないよ。それにラムとだったら平気、ほら、念願の連れションしようよ」

「いや、見てるし……」

 何が念願だ。リリス達はこっちを見ている。見えてないけど見ている。

 ソニアは帝都の実家の裏庭で、すぐ傍でやったこともあるからいまさらどうこう言う必要もないのかもしれない。そういうわけで、ラムリーザは、もう勝手にしろと言う気持ちになっていた。

「あ、ティッシュが無い」

 どうやらソニアは、あの時困ったことを思い出したようだ。

「そうだね、便所に行ったらあると思うよ」

「ちょっと待ってて! 絶対に先にやっちゃダメだからね!」

 ソニアは、コテージの中に駆け戻って行くのを見て、ラムリーザは、「お、おう……」としか言い返すことができずに居た。

 リリス達の視線は、茂みから飛び出していったソニアの動きを追っている。不信感増大まっしぐらであろう。視線はコテージとこちらを行き来している。今度はコテージから出てきたソニアがまた茂みに戻って来るまでの軌跡を追いかけていた。思いっきり人目あるね。

「まだやってないよね?」

「ん……」

 ソニアはどや顔で、手に持ったポケットティッシュを見せ付けてきた。だから何だと言うんだろうね。

「それじゃあはじめるよ、いちにのさんはい!」

「大声を出すな、リリス達が茂みの方を見ている……って、おまっ、何で立っているんだ?!」

「下脱いだから平気」

「そういう問題か?」

 ラムリーザは、用を足しながらもリリス達の動きを警戒していた。二人は顔を近づけて何かを話しているようだが、ちらちらと茂みの方をを見ている。後で何を言われることやら。

 もっとも、こっちに向かってくるようなことになれば、すぐに逃げ出すつもりでいたりした。

「しかし、ソニア……」

「なあに?」

「ごめんよ、リリスにおっぱいのことばらして」

「……いいよもう。どうせいつまでも隠し通せるわけないし、しょうがないよ。だからラムは――?! あれっ?! ひゃあぁ、そんな……」

「どないした?」

 ラムリーザが振り返ると、ソニアはそのばであたふたとしている。よく見ると、足が濡れているようだ。やはり、な。

「垂れてきた……、ふえぇ、どうしよう……」

「大丈夫、僕は何の問題も無い」

 ラムリーザは、めんどくさくなってぶっきらぼうに答えることにした。

 そら見たことか、最初からしゃがんでやればいいものをわざわざ奇行に走るからそうなるのだ。まったく、八年前から何も成長していないじゃないか……。

 そう口に出して言いそうになるのをなんとかこらえて、再び視線をリリス達の方に向けて警戒を続けたのだった。

 

 その後もしばらく湖で遊び、晩御飯はリゲルの釣った魚ということになった。

 七月の海遊び以来の、釣ったばかりの魚の串焼きだ。

「足りなかったら夜食を作りますね」

 うん、その時はロザリーンの好意に甘えておきましょう。

 暗くなってからは、星空の下で演奏会ということになった。最低一人一曲は担当することということで、交代で歌ったりしたものだ。

 そして寝るときは、いつもどおりにソニアはラムリーザとリゲルの居る部屋へやってきて、今日は迷わずに入り口から見て左側のベッドに潜り込んできた。

 ラムリーザは、幸せそうなソニアの寝顔を見て、安堵しているのだった。

 
 
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