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誕生日プレゼントは何ですか?

 

「はい、誕生日のプレゼントですの」

 この日の学校が終わった後、ラムリーザは屋敷にユコを客として迎えた。自分の部屋に通した後の、ユコの第一声がこれであった。同時に、ラムリーザに両手サイズの包みを差し出してきた。

「え? ああ、そうか、ユコ式誕生会だね、ありがとう、かなぁ?」

「ぎこちないんですのね、相変わらず」

「いや大丈夫、ありがとう。開けてもいいかな?」

「うん、いいですの」

 ややぎこちない会話をした後、ラムリーザはユコからもらったプレゼントを開けてみた。中にはなんと、ドラム演奏用のワイヤーブラシが入っていた。

「おおっ、これは前から欲しかったんだ。ありがとう、大事にするね」

「ラムリーザ様、棒読みですの」

「……ごめん」

 ラムリーザは、こればかりはどうも馴染めなかった。

 フォレスター家にとって誕生日という物は、本人を祝うのではなく、これまで育ててくれてありがとうございますと両親に感謝する。そういうしきたりの中でこれまで育ってきたので、祝ってもらうことに慣れていなかった。

 そのしきたりの余波を受けて、同じく初めて誕生日祝ってもらったソニアは、去年の冬、シャングリラ・ナイトフィーバーのステージで壊れた。

「まあいいですの。ブラシで演奏してもらう曲の楽譜も作りたいので、これは私のためでもあるんですの」

「それはよかった。ブラシ奏法も練習しておくよ」

 そこに、これまでずっと黙ってラムリーザとユコのやり取りを見ていたソニアが割り込んできた。

「あたしにくれるプレゼントは?」

 ソニアは、ラムリーザの誕生日に自分もプレゼントを貰う気満々でいるようだ。

「は? なんであなたにプレゼントしなくちゃいけないんですの?」

「ラムにプレゼントしたらあたしにもするべき!」

「意味わかんないですの、今日はもう遅いから帰りますね」

 ユコはソニアに付き合いきれず、家に帰ることにした。ユコはわざわざ学校が終わって帰った遅い時間に来ずに、学校でプレゼントを渡せばよかったのだが、ただ単純に家に忘れてきたので一旦帰宅してから改めて来ただけだった。

 ソニアが掴んできて鬱陶しいので、ユコは「じゃあプレゼントあげるから両手を出して」と言って、懐から何かを取り出した。

 ユコは取り出したものをユコに握らせて、その隙に部屋から出て行った。ソニアの手の中には、一エルド銅貨が握られていた。

 

 夕食後、ソニアとソフィリータが退席した後、ラムリーザは母親ソフィアと差し向かいになった。メイドと執事も同じテーブルに座った。

「十七年前、あなたはこの私から生まれました。父親はラムニアス、フォレスター家の次男です」

 ソフィアは、丁度いい機会ということで、ラムリーザの生まれた年の話を始めた。ラムリーザは、真面目な顔で話を聞いている。

「その当時ラムニアスは、一介の高級文官のまとめ役でした。出世するのはもう少し後です。あと、この二人を雇ったのは、その四年前、あなたの兄のラムリアースが生まれたときでした」

 ソフィアの言うこの二人とは、今一緒にいるメイドと執事のことだ。フォレスター家での子育てが始まったときに雇ったものだ。

 そのこと自体はあまりラムリーザ自身と直接関係無いのだが、その四年後にラムリーザも生まれるわけだし、丁度良いお手伝いさんとなったわけだ。

「あなたを身ごもってしばらくした時、私はメイドと執事が肉体関係を持っていることに気がつきました。特に禁じていたわけではないので、自然な流れだったのでしょう。その時に、メイド夫婦と話しをしたのです。同じ年の友人が居るのも良いと考えて、その年にあなた方も子供を作って、ラムリーザと双子の兄弟同然に育てましょうと。男の子なら、一生仕える腹心として、女の子なら身の回りの世話をさせる女官として」

 それが、フォレスター家メイドと執事の娘、ソニアとなったのだ。ソニアは、ラムリーザから約八ヶ月遅れて生まれることとなった。

「しかしこちらのそういった予定を突っ切って、婚約候補になるのだから困りますね」

「いやごめん、でもしょうがないよ。まぁ一年前に帝都に残ったままだったら、ひょっとしたらここまで関係を持ち上げていなかったかもしれないけどね」

 一年前に、この地方を開拓すると決め、ラムリーザは移転することになった。その時に、ソニアと別れるのが嫌だということで、無理やり恋人関係に持ち上げて、同行させたのだ。

 しかし身の回りの世話をさせる女官か、むしろ今のソニアは、ラムリーザが身の回りの世話をしている感じの方が強かったりする。ソニアに身の回りの世話をしてもらっている場面を、ラムリーザはイメージすることはできなかった。

「去年一年間、この地方のパーティに参加しましたが、ソニア以外に候補に挙がる相手は見つからなかったのですか?」

 名家の令嬢との縁談、それが目的でパーティに参加させたのが、ソフィアの狙いだった。

「いやぁ、ソニアもパーティに連れて行っていたし、ソニアしか考えてなかった。僕はね、ソニアが好きなんだ。今更他の女の子とは付き合えないよ」

「今日来ていた娘は何ですか?」

「今日? あ、ユコ? 彼女は友達だよ。ユコの家では、誕生日に本人を祝ってもらう習慣があるみたいだから、プレゼント持ってきたんだ。まぁそれは半分は、ユコ自身のための物だったけどね」

「それでパーティに今年から参加しなくなったのですね」

「いや、それはこの春休みに話した通り、最近の話題がフォレストピア開発の話重視だったので、いっそそちらメインの場を設けたほうが良いと考えただけだよ。とにかくソニアは、やんちゃで無茶苦茶だけど、そこが面白い奴なんだ、見ていて飽きないよ。それに僕を慕っている、僕には素直な娘だよ」

「いいですよ、優しくしなさい、大切にしなさい」

 ソフィアは、ラムリーザがソニアと付き合うことには反対していなかった。嫡男ではなく次男というのもあったし、他の名家と縁組をしなくても十分に強い影響力を既に持っているということもあったのだ。

 

 

 ラムリーザが母親たちと話を終えて部屋に戻ると、ソニアはゲームをしながら待っていた。この屋敷にはソニアの部屋もあるが、ほとんどつかったことはなく、今夜も同じだった。

 ソニアの座っているソファーの隣に腰を下ろすと、ソニアはゲームのコントローラーを置いて、ラムリーザに寄り添ってきた。

「ねぇ、誕生日のプレゼントあげようか?」

「ん? ソニアもユコ式誕生日にするのか?」

「うん、だってママにありがとうって言うより、プレゼント貰うほうがいいもん。だから、今日ラムに何でもしてあげるから、あたしの誕生日のときもお願いね」

「ほーお、何でもしてくれるねぇ。そんなこと簡単に言ったら、ジャンみたいなエロ助が来て――」

 ソニアは、ラムリーザに最後まで言わせず、抱きついてきた。ラムリーザは、ああそういうプレゼントなのねと理解した。去年散々遊んできたので、今更「何でもしてあげる」と言われても、何をやろうか困ったりした。

「ラムのためだったら何でもするよ」

「わかった、だがちょっと待て」

 ラムリーザは躊躇したわけではない。ソニアから一旦離れると、入り口の方へ向かっていき扉に鍵をかけた。

 こんなこともあろうかと、屋敷の建築中最後の方で部屋一つ一つに鍵を設置するよう頼んだのだ。ラムリーザの部屋だけだと怪しまれるので、全ての部屋に。

 ソニアもソファーから立ち上がって、ラムリーザの方へとやってくる。

「待て」

 さらにラムリーザは、ソニアを制した。そのままソニアを立たせたまま、自分はソファーへと腰掛ける。

「どうするの?」

「さぁ、脱いでみようか」

「ふぇ?」

 ラムリーザは、ソファーに深くもたれて、立ったままのソニアに注文をつける。きょとんとするソニアに、念を押すように言ってみた。

「今さっき何でもするって言ったよね?」

 その言葉を聞いてソニアは一瞬固まったが、すぐに開き直ったような顔つきになった。

 腰の辺りをもぞもぞとしていると、ソニアの履いている短いスカートがストンと床に落ちる。これで身につけているものは、下着と部屋着のカーディガンだけとなった。

 そしてカーディガンのボタンを外すとそのまま直立して、両腕を組んでしばらく動きを止め、次の瞬間バサッとカーディガンを後方へ投げ飛ばしてファイティングポーズを取った。

 ラムリーザは、何故かソニアの今の行動に見覚えがあったが、その時は思い出せなかった。

 下着姿でまるで格闘ゲームのキャラのように構えたまま身体を上下させるソニアに、ラムリーザはさらに注文を重ねてみた。

「ブラを外してみようか」

「ふぇ?」

「何でもしようね」

 ソニアは再び固まるが、すぐに先ほどと同じように腕組みをして、バッとブラジャーを自ら剥ぎ取って構えてきた。まるでラムリーザとこれから戦うかのように。

 ソニアが身体を上下するたびに、その大きな胸がゆさゆさと揺れる。

「ってかこれ何よ!」

 それまでラムリーザの言うことに従ってきたソニアは、ここに来て文句を言ってきた。しかしラムリーザは、そんなの関係ないとばかりに、次の指令を放つ。

「さあ、自分でおっぱいを揉んでみよう」

「そっ、そんなのあたし、変態さんじゃないの!」

「あれ? 今さっき何でもするって言ったよね?」

「ふえぇ……」

 ラムリーザは、ニヤニヤと笑みを浮かべながら、ソニアの痴態を見て楽しんでいた。流石に写真に残すのはかわいそうだから、そこまではやらなかったが、誕生日の夜を思い出深いものにしようと、おもしろがっていた。

「ほら、一番先っぽの敏感なところを自分でつねるんだ」

「ふえぇ……」

 それでも自分で言い出したことなので、ソニアは悲鳴をあげながらもラムリーザの言うがままに行動している。律儀なのか言いなりなのか、ラムリーザの誕生日という特別な日だからなのか。

「よし、いい感じだね。そろそろこっちにおいで」

 ソニアは顔を赤くして、目をトロンとさせて、ソファーに腰掛けているラムリーザの方へと近づいていった。

 ラムリーザは、ソニアの大きな胸に顔を近づけ、その先っぽをペロリと舐め――。

 

 ………

 ……

 …

 

 ラムリーザの誕生日であるこの日、ラムリーザとソニアの怪しげな遊びは、そのまま二人が寝る時間まで続いたと言う。

 ぬいぐるみのココちゃんが、二人の饗宴をベッドの上から見つめているように見えた。
 
 
 
 いや、ぬいぐるみじゃくて、クッション――

 
 
 
 
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