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身体能力テストをする羊と牛

 

 この日の体育の授業は、身体能力テストだった。握力や垂直飛びなどの測定をするのだ。

 そして体育館で授業が始まり、二人組みでお互いの記録を取りながら進めて行くということになった。

「二人組みか、リゲ――」

 ラムリーザが二人組みをつくろうとリゲルに声をかけようとしたところで、後ろから誰かに腕をつかまれた。

「ソニア? って待て、ソニアと?」

「先生は男女で組んだらダメとは言ってないよ」

「……まいっか」

 というわけで、ソニアと二人で測定を進めることになった。

 そこで何故か、やるからには勝負しようという話になってしまったのだ。

「まずは握力勝負!」

 ソニアはそう言って握力計を握り締める。女子の身で男子に勝とうとでも言うのだろうか。

「どやっ、32Kg!」

「うん、すごいね」

「はい、ラムの番」

 ソニアは得意げになって握力計を手渡すが、ラムリーザの結果は、ソニアの倍以上となったのである。

「くっ、脳筋ラム!」

「ちょっと待て、脳は関係ないだろ?」

「ふんっ。次は上体そらしやるから押さえて……って、これ計る人が必要じゃない?」

「あっちで先生が計っているよ」

 上体そらしは三人必要なので、先生が計測役をこなしていた。

 ラムリーザとソニアはそこに行って、今回もソニアから計測することになった。

「ほらラム、太もも押さえて」

 ラムリーザはそう言われて、ソニアのブルマとサイハイソックスの間のむきだしの太もも部分を押さえる。そして計測が始まった。

「ふむ、ロケットおっぱいを強調しております」

 ラムリーザの呟きに、先生が「ぷっ」と吹き出す。

 身体を思いっきりそらしているので、ソニアのつんと尖った大きな胸は、体操着を盛り上げてものすごい存在感を強調していた。

「ちょっと、ふざけたこと言わないでよ! 何がロケットよ!」

 ソニアは素早く身体を戻して、両手で胸を隠しながら文句を言う。

「騒ぐな、さっきは計測できなかったみたいだからやりなおし。ほら、おっぱい突き出して」

「ちっ、違うでしょ!」

 といった具合に計測は続き、握力などの筋力系はラムリーザに分があったが、上体そらしなどの柔軟性ではソニアに分があった。

 そして最後に反復横飛びをやることになったのだが……。

「どうしたソニア、しんどいのか?」

「くっ……胸が……」

 上体が激しく揺れて、ソニアの大きな胸が大変なことになっている。揺れて痛いのか、片腕で押さえたまま飛ぶので、身体のバランスが悪く記録が伸びない。

 その様子を見て、ラムリーザはこれまでのことを思いかえしていた。

 そういえば、ソニアは小学生の頃は運動が得意だったが、中学に入ってから徐々に運動が苦手になっていったような気がすると。

 今になって思えば、急激に胸が成長していったので、それに伴い運動の邪魔になっていたんだなと考えることができる。

 いつの頃からか、胸を押さえながら走るようになって、今では全力疾走できなくなってるような感じだ。

「難儀なおっぱいだの」

「全く、嫌になっちゃう……」

 結果、ソニア28点、ラムリーザ42点、ラムリーザの圧勝であった。

 

 そんなこんなで測定は終わり、終わった人から各自自由時間となっていた。

「ラムリーザ、どうだったかしら?」と声をかけてきたのはリリスだ。

「まあ、ぼちぼちだね」とラムリーザは無難に返しておく。

「ラムリーザさんの記録が見てみたいですわ」

 ユコは、そう言ってラムリーザから記録用紙をひょいっと取り上げる。

「身体硬いですわねぇ、前屈3cm?」

「うるさいよ」

「ちなみに私は17cmですわ……って、ええっ、握力87kg? 嘘ぉ……」

「いや、嘘じゃないって」

「だってほら、私は38kg、リリスなんて32kgよ。倍以上あるじゃないの……」

 そんな感じにラムリーザがリリスやユコ達と記録の見せ合いっこをしていたところ……。

「ごろにゃーん♪」

「な、なんだあ?」

 突然ソニアがラムリーザに後ろから抱き着いてきた。ロケットおっぱいを、遠慮なく押し付けてくる。

「にゃーん」

 そして抱きついたままじゃれ付いてくる。

「にゃーんにゃーんって、なんつーか、お前は猫ってイメージじゃないんだよな」

「じゃあ何ー?」

「んー……何だろ」

 と言って、リリスとユコの方を見て答えを促す。

「そうね……」

 リリスは少し考えていたが、すぐに手をポンと打って「閃いた」って表情になった。

「あなたは牛よ、くすっ」

「ぶっ」

 リリスの牛発言にラムリーザは吹きだした。

「牛ってなによー、あたしそんなにのんびりさんに見える?」

 ソニアにはリリスの牛発言の真意は読み取れなかったようだ。身体的特徴一点を指して牛の例えだったのだが。

「だって、ねぇ」

 リリスはユコの方を向いて同意を求める。

「え、ええ。そ、そうね」

 ユコは困ったような笑いを浮かべている。どうやら分かっていないのはソニアだけのようだ。

「じゃあラムは何?」

「ラムリーザ……ラム……羊?」

「羊?」

「あ、それわかる。ラムはいつものんびりしているからねー」

「そうかそうか。じゃあ仲良く牧場に帰るか?」

 ラムリーザは、それって性格やイメージじゃなくて、単に名前から発想しただけじゃないのか? と思ったが、どうでもいいことなのでスルーすることにした。

「私はどんなイメージかしら?」

 リリスは微笑を浮かべてラムリーザを見つめて問いかけてきた。若干その瞳には、何かを恐れているような色が含まれている気がする。

 ラムリーザは、じっとリリスの様子を見て、頭にひらめいたことを言った。

「……黒豹かな」

「黒豹? うん、黒豹、なるほどね」

 そう答えるリリスは、満更でもない様子だ。それに、何やらほっとしているような感じも見受けられる。

「ユコは?」

「うーん、ユコかぁ……」

「ごろにゃーん」

 ユコのイメージを考えていたラムリーザに、またしてもソニアがじゃれついてくる。

「ちょっ、だからお前は猫じゃなくて牛だってば」

「ンモー、ンモー」

 鳴き声を変えただけで、じゃれ付いてくるのを止めようとしない。

 二人の様子をじーっとみつめてくるリリスとユコの視線に、ラムリーザはきまりが悪くなってきていた。

「もういい、牛と羊は牧場に帰るわ」

 そう言い残して、ラムリーザはソニアを連れてリリス達から離れていったのであった。

 
 
 
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