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ソニアの誘惑ごっこ

 

 この日の体育の授業が終わった後、ラムリーザとソニアの二人は片付けを任されていた。授業で使ったバスケットボールをかごに集めて、用具室に運んで行くといったものである。

 運び終えた後でふぅと息をついて二人は目を合わせる。

 その時何を思ったか、ソニアはにこっと笑うと用具室に置いてあった跳び箱に飛び乗り、ラムリーザを手招きする。

 その誘うような動作にラムリーザは眉をひそめて言う。

「やれやれ、今度は何のイベントを模倣しているんだ?」

 そう、ソニアがまたゲームのイベントシーンを再現させようとしていると思ったわけだ。

「違うよー、ほら、学校じゃ二人きりになれることなんてほとんど無いからさあ」

 つまり、この機会を利用して誘っているわけだ。ラムリーザは寄宿舎でいくらでも二人きりになれるのだがと思うが、ソニアの方はこのシチュエーションを楽しんでいるのである。

 ソニアは腕を胸の下に回して、その大きな胸を抱えあげて見せる。するとその胸が体操着を持ち上げて、大きなふくらみを作り上げるのだ。

 いや、わざわざ腕を使って強調しなくても、その胸はロケットのようにつんと尖っていて、存在感抜群であるのだが。

 それでもなんだかんだでソニアは自分の胸が武器になるということを理解しているようだ。

 しょうがないな、乗ってやるかと考え、ラムリーザはソニアの胸に手を伸ばし、指を押し込む。

「んっ……」

 指先に柔らかい感触が伝わってきて、そのまま胸にめり込んでいく。

 ラムリーザは、この前の休日の夜を思い出していた。

 あの時は、二人の関係を一歩進めるために一線を越えたが、今日はまたこの場所で、それにしてもやわらかい……。

 ……と考えた所で我に返る。

「いやいや待て待て、これはダメだろ」

 サッと手を引っ込めながら言う。

「何がダメなのよー」

 胸での誘惑に失敗したソニアは次の手段に出た。

 ふとももの半ばまで丈のある靴下を、両足とも足首のところまでずり下げる。そして剥き出しになった脚をラムリーザに見せ付ける。ブルマから伸びる脚が美しい。ソニアは自分の脚線美も武器になることを理解しているようだ。

 ラムリーザはそれを見て、思わずソニアのふとももに手が伸びる。

「ん……」

 スベスベで、それでいて肉付きのいい感触が手のひらに伝わってくる。やわらかい……。

 ……じゃない。

「いや、待て待て、だからダメだってば」

「一瞬触ったじゃん、心は正直みたいだよ」

 ソニアは少し赤くなった顔でニヤニヤしながらラムリーザを見る。

「だから学校でやっちゃダメだってば」

 下宿先の自室ならともかく、学校ではキス程度に……いや、キスもちょっとまずい。せめて抱きしめるぐらいのほうがいいかもしれない。

「人が見ている所ならやらないよ。でも今ここだと誰も見てないし二人きりでしょ?」

「もう一度聞く、これは何のイベントだ?」

「だからー、イベントじゃないってば! あのゲームはもうやってないじゃない!」

 それなら本気なのか……腕組みをしたまま口に手を当ててラムリーザは考える。

 欲望のままにソニアに飛び掛るか、理性的になるか。そもそも拒む道理は無い。お互いの親も認めている結婚を前提とした付き合いをしているわけだし。

 ラムリーザは、親公認という所で確か母と、「清い交際をする」という話をしたことを、ふと思い出した。すでにその話は反故にしているではないか……。

 それはもう過ぎたこととして置いておくとして、こんなところを誰かに見られたら大騒ぎになるかもしれない。

「ほら、あたしがこんなに分かりやすいフラグ立てているのに、なんで気がつかないかな?」

「フラグ? 今フラグと言った?」

 その言葉でラムリーザは理性的な考えが蘇った。やっぱりゲームじゃないか。

 

・ソニアの誘いに乗る

・ソニアの誘いを断る

 

 つまりこういうことだ。

 今現状をゲーム的な考えで行くと、既にソニアルートには入っている。というか、ゲームによってはエンディングを終わらせているとも言えるだろう。

 だから、あえて真逆の選択肢を選ぶことにする。

「残念ながら、そのフラグは叩き折ることにした。今は誘いには乗らないぞ」

 ラムリーザはニヤッと笑って、腕組みをして一歩下がる。

「ちっ、テンプテーション失敗」

「見切りスキルを持っていたようだな」

「むー、そんなにあたしは魅力無い?」

「魅力の無い女の子を選ぶほど僕は物好きじゃないね」

 ラムリーザの返答にソニアは嬉しそうな表情を浮かべるが、魅力の有る無しの話ではない、TPOTPO。

「ほら、こんなところで油売ってたら休み時間が終わるよ。早く教室に戻って着替えないと」

「そっかー、そうだね」

 そこで、ようやくソニアは無理にやらなくてもいい誘惑を諦めたようだ。

 腰掛けていた跳び箱からぴょんと飛び降りると、スタスタと用具室を出て行く。ラムリーザも用具室の扉を閉めて後を追った。

 

 体育館から校舎に通じる渡り廊下を、ソニアの後について歩いていたラムリーザはあることに気がついた。

「そういや、ソニア」

「なあに?」

 先を歩きながら顔だけ振り返るソニア。

「なんつーか、その靴下直していた方がいいと思うぞ」

 先程ずり落としたままで、足首の所でモコッとなっている。昔はそんなことなかったのだが、最近のソニアは服装に無頓着なところがあったりするのだ。

「んー、いいの。あたしもこの方がいいし、ラムもあたしの生足を見ることができてうれしいでしょ?」

「そういう問題ではないんだけどな……」

 ラムリーザは、ソニアがそう思っているのならとやかく言うのはやめにした。

 しかし、ボタンが留まらないからだとは言え、リボンを付けることもできずに制服の着こなしは乱れている。

 これ以上服装の乱れが目立つのはあまりよくないことなんじゃないのかな……と思いながら、ソニアの後を追って教室に戻っていくのであった。

 
 
 
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