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こいつらヤバい、もしあの時勝負に負けていたら……

 

 今日は、帝国建国記念日で、学校は休みである。

 そして、帝都シャングリラでは「建国祭」が行われていた。

 そこで、ラムリーザはネットゲーム漬けでヤバい状態になっていたソニア、リリス、ユコを連れて、祭りに行くことにしたのだった。

 

「また制服で行けって言うの?」

 部屋で出かける準備をしている時に、ソニアは先日リリス達と買い物に行った時に買った服を手に持って言った。昨日の今日なためか、若干ラムリーザの顔色を伺うような言動をしている。

「いや、それでいいよ。この間新開地に行ったときもそうだっただろ?」

「よかった」

 そう言って、ソニアはドレープカットソーを着て、「いつもの」プリーツ入りミニスカートを履く。

「あ、そういえばミニスカート限定って昨日言ってたね」

「そうだっけか?」

「それと……やっぱり今日は下着つけちゃダメ?」

「はぁ?」

 ソニアは頬を赤らめて、やはりラムリーザの顔色を伺うように見ている。

 一方ラムリーザは、一瞬この娘はいったい何を言っているのだ? と思ったが、すぐに昨日冗談で言ったことを思い出した。

 昨日はあれだけ呆けていたのに、よくそんなくだらないことを覚えているな、と思って言う。

「あのな、冗談って言っただろ。それとも何か? 僕が着けるなと言ったら本気でそうするのか?」

「うーん……」

「考え込むな、拒絶しろよ!」

 思わず力強く突っ込んでしまった。

 ただでさえソニアはきわどい丈のミニスカートを履くのだ。これで下着無しと来た日には、痴女もいい所だ。

「アホな事言ってないで、さあ行くぞ」

 というわけで、二人は駅に向かって出発した。

 

 二人が駅についた時、リリスとユコはまだ来ていなかった。

 ずっとほとんど寝ないまま居たのだから、今日はなかなか起きられないだろうということで、来るのが遅くなるかもしれないというのは想定の範囲内だった。

 ソニアも今朝はなかなか起きられず、ラムリーザは起こすのに苦労したのだ。

 そこで、ラムリーザは暇つぶしにソニアを鑑賞して過ごすことにした。

 自分はベンチに腰を掛けて、ソニアを前に立たせていろいろなポーズを取らせる。時々その場でジャンプさせて、胸の揺れ具合を堪能していた。

「ねぇ、これって何の意味があるの? 飛ぶと胸が揺れて痛いし、あたし疲れたよ」

「ん? 昨日何でも言うこと聞くって言ったよね?」

「だったらリリスとユコが来てから三人に言ってよぉ……」

「それじゃあジャンプはもういい。次はスカートたくし上げてみようか」

「ふえぇ……」

「ああ、もういい。ほら、ここに座れ」

 ラムリーザは、ソニアを隣に座るよう促して、鑑賞会は終わりにすることにした。

 

 リリスとユコは、待ち合わせ時間を二十分程過ぎた頃に、息を切らせて走りこんできた。

 ラムリーザの予想通り、起きるのが遅くなって慌てて準備してきたそうだ。

 ほとんど尻に届きそうなぐらいまで伸びた長い髪が、まだ乾ききっていない。

「そういえば一緒に現れたけど、家は近いのか?」

「隣同士なの」

「なるほどね」

 そこで、ラムリーザは二人の姿を見て、「ん?」となった。

 リリスは、上は胸が強調されたオフショルダーのインナーに、ベストを羽織っている。

 それを見てラムリーザは、リリスも胸大きいんだなと思うのだった。ソニアが規格外なだけなのだ。

 そして下が、黒いミニのレザースカートにブーツという姿なのだ。

 ユコは、薄い黄色のブラウスに、白いフレアーミニスカート。そして太もも丈の白い靴下、いわゆるサイハイソックスにローファー。さしずめ制服の色違いと言ったところか。

 二人がミニスカート姿、特に普段大人しめな恰好をしているユコが、少しばかり目立った恰好しているので、ラムリーザは昨日冗談言ったことが気になってしまった。

 そこでとりあえず聞いてみる。

「下着は付けているだろうな?」

 二人は聞いた直後はきょとんとしていたが、すぐに昨日のことを思い出したのか、ユコは慌て言い返す。

「と、当然ですわ! ソニアと一緒にしないでください!」

「ちょっと何それ! あたしも履いてるわよ!」

「じゃあ確認の為に見せてくださいまし?」

「はいはい、喧嘩はそこまでね」

 ラムリーザは、妙な方向に話を持っていきかけた二人をなだめて立ち上がった。

 一方リリスの方はというと、微笑を浮かべているだけだった。いや、さすがにノーパンはないよね。その辺り分別はつくよね!

 

 

 電車の中で、四人は昨日までやっていたゲームの話をしていた。

 ラムリーザはあまりその話はやりたくなかったのだが、三人が聞いてくるのだから仕方が無い。

「ラムリーザさんの名将、あれって課金して取る神仙ですよね?」

「ああ、そうだな」

「どのくらいガチャりましたの?」

 ユコは恐る恐る聞いてみる。

「えーと、一回のガチャで大体二十から三十枚の特殊将令が手に入っていたから、あれは一体二千枚必要だったから、ん~……一体辺り約百回やったことになるな」

「えっと、確かガチャ一回百オーブだったから、一体辺り一万オーブ……」

「それが五体だから五万オーブ……」

「確か現金とのレートは、オーブの五倍が現金よね……」

「つまり二十五万……」

 三人の娘は揃ってため息を吐く。

「はぁ……ゲームじゃなくて、私達のために使って欲しかったなぁ……」

「ん? 君達にゲームで勝つために使ったじゃないか」

「そうじゃなくて! おいしい物食べさせてくれたり、楽しい所に連れて行ってくれたり!」

「惜しいことをしたね、残念だったな。ネットゲームにのめりこんでいなければ、その機会もあったかもね」

 ラムリーザにニヤリと笑われて、三人は再びため息を吐く。

「ラムリーザが金持ちなのは気がついていたけど、ねぇ……」

「はぁ、馬鹿なことをしましたわ……」

「もう忘れろ。気分一新するために、今日はこうしてお祭りに誘ったんじゃないか。そして明日から音楽も楽しもう、ね?」

「うん、わかったわ」

 微妙な空気を漂わせたまま、電車は帝都に向かって進んで行った。

 ラムリーザは三人の姿を見て、とりあえず外見だけはあの残念な状況から回復したな、と感じた。

 見た目は美人であり可愛いのだ。それがあんなにやつれてしまうような状況には二度とさせない、と一人誓うのであった。

 

「ところでさぁ、リリスはもし勝ってたらどんな命令するつもりだったの?」

「そうねぇ、まずソニアにはラムリーザと別れてもらう。それでラムリーザには私と付き合ってもらう。ユコには、ん~……」

「な……」

 リリスの大胆な構想に、ソニアは絶句する。

 どうやらあの戦いに負けていたら、ものすごくめんどくさいことになっていたんだなと思い、ラムリーザは少しばかり戦慄を感じた。

「……ユコは?」

 ソニアは恐る恐るユコにも聞いてみる。

「そうねぇ、まずソニアにはラムリーザさんと別れてもらう。それでラムリーザさんは私と付き合ってもらう。リリスには、ん~……」

「ふっ……ふっ……ふっ……」

 ソニアがなにやら笑うような感じでつぶやいている。

 リリスとユコの衝撃発言で、脳がトリップしたか? とラムリーザは訝しむ目でソニアをチラリと見る。ソニアはその瞬間爆発した。

「ふざけないでよ! なにどさくさにまぎれて堂々と寝取ろうとしているのよ!」

「声がでかい」

 ラムリーザがソニアを制する。ここは電車の中だ。寝取るとか不穏な言葉を大声で言うな。

 何人か居る他の客は、チラチラとこちらを見ている。

「大体何? なんでそんなにラムリーザのどこがいいの? 下着つけてくるなって命令する変態だよ!」

「ラムリーザって金持ちって分かったし、それに見た目もまあまあ良いし」

「未来の自治領主夫人ってのも魅力的ですわ」

「お前ら……」

 今度はラムリーザが絶句する。ソニアは多分混乱しているのだろうが、ラムリーザを下げるような発言をするし、リリスの見た目がまあまあというのにはひっかかる所があるし、自治領主夫人って何だ? 自治領主になるんじゃないぞ……と心の中で突っ込む。

 そもそもエルドラード帝国内に自治領など存在しない。

 もっとも、リリスやユコと付き合うことは、二人ともすごく美人だというので申し分ないが、そこにラムリーザの意思は存在しないって感じだ。いや、それが命令か……。

 しかし付き合うとなったとしても、それはそれで「きついもの」もある。

「あのなぁ、僕は今ソニアと――」

「代わりに私がラムリーザと屋敷で同棲」

 ラムリーザの台詞を遮って、リリスは遠慮なくとんでもないことを言い出してくる。それこそが、「きついもの」、つまりソニアと同棲しているのに他の女と付き合う事に対する解決策になると言えばなるのだが。

「あたしはどうなるのよ!」

「ソニアは学校指定の寮、桃栗の里にでも入ってもらって」

「あのゲームは、そんなに過酷な戦いだったのか……」

 今更ながらラムリーザは呆れ――

「当然、命令とあらばノーパンミニスカで出掛けることも辞さないんだからね」

「…………」

――いや、本気で恐怖を感じた。

 

 結局のところ、ラムリーザは金貨数十枚の金で平穏を勝ち取ったということになる。

 それはそれで結果よしとしよう、と思い直すのであった。

 
 
 
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